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[井上元勝（著者）：琉球古武道（上巻）。監修　琉球古武道保存振興会　総本部・内地総本部。東京、有限会社ブレーン出版、昭和47年6月7日。1刷、pp. 582-583。] 一　責務をあらたに このたび、当会生みの親、故平信賢先生を失い、一時は会員一同断腸の思いで追憶かぎりなきものがありました。沖縄・内地の会員達、または各空手界の諸先生方に励まされ、いまや亡き先生の意志を全うすべきことを決意し、会員の要望ももだしがたく、新会長の位置を辱(かたじけな)うし、その責務の重大さを痛感するものであります。また、会長就任直後、時あたかも一九七〇年十月十日、全日本空手道連盟主催の第一回世界空手道大会において、琉球古武道保存振興会を代表して正統なる琉球古武道の一技、津堅砂掛けの棍を演武したことも当会のため欣快にたえぬことと思います。ここに内地総本部長井上元勝先生の手によって本書を発行し、琉球古武道の正しい発展を基礎づけるとともに、故平信賢先生に対する報恩の一助にしたいと思います。 琉球古武道はしだいに盛んになるとともに、誤伝される恐れが多分にあります。現在、古武道に関する出版物が多少ありますが、そのいずれにも間違いがあります。琉球古武道保存振興会で保存している各型については、その誤謬をふせぐため、総本部及び内地総本部長の事実上の監修を経て、両本部名を明記したもののみ責任を負い、正統本とすることを付記します。 一九七一年九月 琉球古武道保存振興会 総本部会長　赤嶺栄亮