空手の日宣言に関する決議

はるか700年のいにしえ、空手はこの地・沖縄で生まれた。先人たちは沖縄の豊かな自然と風土との共生の中から空手という世界に誇る伝統文化を創造した。それは初め「ティ」と呼ばれていた。

一方、「万国津梁の氏」とうたわれた先人たちは、中国や東南アジアを初めとする世界中を駆けめぐって異国の人々との交流を盛んに行い、世界の文化と富をこの地に運んで平和と繁栄を築いた。

これらの交流とともに、1400年から1500年ごろに中国武術が渡来した。それまで独自の道を歩んでいた空手は中国武術の長所を積極的に取り入れて、見事な華を咲かせて。それが現代に伝えられている空手である。

1936年10月25日、いまでは世界の空手家や多くの人々になじみとなった「空手」という表記が公式に決定された。それゆえに、この日を「特別な日」として歴史にとどめようとすることは有意義である。

周知のように、世界の空手人口はおよそ5000万人と推定され、国境や言語、宗教、体制、人種の壁を超え、その普及する国々は150カ国に上ると言われている。戦後わずか半世紀の間にこれほどもで世界の隅々にまで猛烈な勢いで広がったところに、空手のはかり知れない魅力、すばらしさがあると言える。

言うまでもなく、沖縄の文化でこれほどまでに広範な広がりを持ち、世界中の人々に影響を与え親しまれている文化はほかにない。

また、空手には「空手に先手なし」という偉大な哲理と「ヌチドゥ宝」(命こそ宝)の生命尊重の思想を根本理念とする「平和の武」があり、今日の国際社会からますます求められ、貢献を広げていくものと確信する。

よって、本県議会は、沖縄伝統の空手が今後ますます発展し、世界の平和と人々の幸福に貢献することに願いを込めて、「10月25日」を「空手の日」とすることを宣言する。

上記のとおり決議する。

平成17年3月29日

沖縄県議会

参考資料『沖縄空手古武道事典』2008年、7頁。

2020

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